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名古屋「TechGALA」で世界16社がピッチ登壇—農薬散布最適化、AIウェブトゥーン制作、小型アップサイクルプラントのスタートアップが入賞

Ikeda Masaru by Ikeda Masaru
02/28/2025
in Deals, EdTech, Media, Society, Startup Events
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Home Deals
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JSTORIES ー 2月上旬に名古屋で開催されたスタートアップカンファレンス「TechGALA」の2日目、このイベントのハイライトの一つでもあるピッチコンペティション「TechGALA Global Startup Showcase」が行われた。上位入賞者には、大手事業会社のディシジョンメーカー(意思決定者)との特別面談権、海外進出や日本進出に向けた伴走支援、メディア掲載など、事業拡大に直結する支援が提供される。

このコンペティションは「海外市場を目指す日本のスタートアップ」と「日本市場を目指すグローバルスタートアップ」が参加対象。TechGALAでのピッチでは「Mobility」「Sustainable Environment」「Material」「Life Science / Well-being」「Advanced Technology」の5つのテーマについて、国内外から予選を勝ち抜いた16のスタートアップが登壇、自らの事業の革新性をアピールした。

撮影: J-STORIES (池田将)(以下同様)

コンペティションの審査員を務めたのは、ベンチャーキャピタル、東海地域の有力企業の経営幹部をはじめとする次の方々だ。

ー Antti Sonninen(アンティ・ソンニネン)氏  Takeoff Tokyo Co-founder, CEO

ー 伊作 猛(いさく・たけし)氏  武蔵精密工業 常務執行役員、MUSASHI Innovation Lab「Clue」代表

ー 宇佐美 啓子(うさみ けいこ)氏  bp Japan K.K 水素事業開発部長

ー Eyal Agmoni(エアル・アグモニ)氏  Founder and Chairman, Chartered Group

ー 加藤 道子(かとう みちこ)氏  Woven Capital パートナー

ー 鈴木 敦(すずき あつし)氏  丸紅 中部支社長

ー 郷田 悠未(ごうだ ゆみ)氏. 三菱UFJイノベーション・パートナーズ(MUIP)戦略投資部 上席主任

ー 手柴 勝一(てしば しょういち)氏. マクニカホールディングス

ー 本荘 修二(ほんじょう しゅうじ)氏. 本荘事務所代表、多摩大学客員教授

では、予選を経て、このピッチコンペティションに登壇した全てのスタートアップと、審査員の評価を得て、見事に入賞したスタートアップの顔ぶれを見てみよう。入賞者には、1位100万円、2位50万円、3位30万円の賞金も贈られた。

【1位】Spornado(カナダ・トロント)

Spornado CEO Kristine White氏

Spornadoは、作物病害の早期警戒システムを提供し、殺菌剤の使い方を変革するスタートアップだ。現在、世界各国では年間210億米ドルが殺菌剤に費やされているにもかかわらず、作物病害による損失は1,000億米ドル以上に上る。そうした現状に対し、同社はソーラーパワーを使った装置(空気サンプラー)で空気中の病原菌を収集、DNAを分析して農薬散布を最適化ソリューションを提供している。

採取したサンプルの分析結果は、サービスを契約している顧客(サブスクライバー)に24時間以内にテキストやメールで配信する。空気サンプラーはさまざまな作物に悪影響を与える空気感染性の病原菌に対応可能で、病害を作物に影響が出る前に検出することで、推測に頼らない的確な薬剤散布を実現する。

現在25カ国で1,000以上のサンプラーを展開し、農地面積1ヘクタールあたり2〜8ドルのサブスクリプションモデルを採用。1回の散布削減だけで従来の2〜5倍のROI(Return on Investment、投資収益)を実現し、収量増加分を考慮しない保守的な試算でも高い投資効果を示している。同社では現在、学術機関、産業界、政府の研究者による独立した検証を通じて技術への信頼を確立し、作物コンサルタントや小売業者など多くのパートナーとのネットワーク活用した事業展開を進めている。

これまでに北米とヨーロッパで特許を申請し、最近では日本でも特許を取得。今後5年間で主要作物すべてをカバーしたサービス展開を目指すとともに、水田や畑などのさまざまな圃場をカバーする完全自動化・自律型の圃場センサーの開発も進めている。蓄積されたデータはAIを活用して分析し、病害予測と殺菌剤使用の革新的なモデル開発に活かす予定だ。世界中の農家がデータに基づいた農薬散布の意思決定を行えるようことがこうした技術革新の目標だという。

【2位】Onoma AI(韓国・ソウル)

Onoma AI CEO Min Song氏(最前列右)

Onoma AIは、韓国から生まれ世界的に市場が拡大しているデジタル漫画コンテンツ「ウェブトゥーン」制作プロセスをAIを使って最適化するスタートアップだ。Netflixを通じて韓国ウェブトゥーン原作コンテンツの世界展開に火がつき、この市場では2029年までに121億ドル規模に成長すると予測されている。制作者の1日平均10.5時間の労働時間のうち、40%がネーム(絵コンテ)作成に費やされている現状に対し、同社では、線画からストーリー構想まで、制作プロセス全体を効率化するソリューションを提供している。

同社では、独自のAIモデル「Illustrious XL」を開発し、Hugging Faceのトレンドモデルで7位にランクイン。キャラクターモデルのトレーニングから、コミュニティでのモデルの売買・共有まで可能なプラットフォームを構築した。2024年9月のサービスローンチ以来、マーケティング活動なしで登録ユーザー2,974人を獲得し、B2B収益9万米ドル、Tensor.Artなどとのモデルライセンスパートナーシップにより月間2万米ドルの定期収入を確保するまでに成長した。

同社は2024年と2025年のCESイノベーション賞を受賞し、NVIDIA、Google、Microsoftからの支援も受けている。同社では、9件の特許と6本の研究論文で技術を保護している。

同社のサービスにより、ウェブトゥーンの製作時間は従来比49%速くなり、同じ時間で2倍のアウトプットを実現できる。現在、シリーズAラウンドで日本や韓国の投資家から300万ドルを調達中だ。今後は、子供向けプラットフォームの共同開発や日本の漫画のウェブトゥーン化など、日本市場での展開も計画している。

【3位】JOYCLE(日本・京都)

JOYCLE CEO 小柳裕太郎氏(最前列左)

JOYCLEは、ゴミの焼却と再利用に新しいアプローチを実現する小型のIoTアップサイクルプラントサービスを提供するスタートアップだ。地方自治体の財政難による焼却炉の減少、廃棄物輸送コストの急増、深刻なドライバー不足という課題に対し、電気のみで稼働する小型プラント「JOYCLE BOX」を開発した。JOYCLE BOXは、IoTセンサーを通じて環境面と経済面での効果を可視化でき、従来の焼却施設とは異なり、廃棄物の輸送や焼却が不要で、資源へのアップサイクルが可能だ。

JOYCLEは、IoTセンサーとAIを活用して加熱システムを制御し、廃棄物を陶磁器灰やバイオ燃料に変換する技術を確立した。JOYCLE BOXは人の手で運べるほどコンパクトな設計で、電気で稼働するため再生可能エネルギーとの組み合わせも可能で、環境負荷の低減を実現している。月額のプラントサービス料金で、顧客は高額な廃棄物処理コストを削減でき、環境貢献に関する可視化されたデータも得られる。生成される陶磁器灰は環境配慮型建材としてリサイクルが可能で、このサプライチェーンもデータとAIで管理している。

船舶による本土への廃棄物輸送が必要な島嶼部では、JOYCLEによってCO₂排出と輸送コストの両面で大きな効果が見込める。すでに、離島の多い沖縄などが導入を進めているほか、フィリピン、インドネシア、ハワイからも関心が集まっている。

同社では今後2年間で日本国内に9基の設置を予定。病院、島のリゾート、地方自治体向けのソリューションとして、九州大学や群馬大学などと技術協力も進めているそうだ。

————————————————————————————————————

以降は惜しくも入賞を逃したものの、大きな注目を集めたスタートアップの顔ぶれだ。

DeviceTotal(イスラエル・テルアビブ)

DeviceTotal CEO Carmit Yadin氏

DeviceTotalは、IoTやOTデバイス(産業向けデバイス)のセキュリティ可視化ソリューションを提供している。アジア太平洋地域ではIoTに対するサイバー攻撃が深刻で、日本が最も標的にされているという現状がある。同社はAIを活用して全てのコネクテッドデバイスのセキュリティデータを統合した独自のリポジトリを構築しており、日本のベンダーを含む全てのデバイスの脆弱性スコア、リスク評価、対策方法などを提供し、顧客に明確なROIをもたらすことができるという。インストールや統合が不要で、顧客のリスクなしで導入できることが特徴だ。

自動車メーカーでの導入事例では、日本の脆弱性情報データベース「JVN」では把握できなかった脆弱性を100%可視化することに成功。顧客企業に対して、追加コストなしでリスク軽減のための明確なアクションを提示できる点が強みとなっている。さらに、こうした脆弱性情報を活用することで、企業全体のセキュリティ態勢を強化し、サイバー攻撃による損害(日本での平均被害額は450万ドル以上)を効果的に防ぐことができるという。

Choira(インド・ムンバイ)

Choira CEO Vivart Rangari氏

現在の音楽制作における主な課題として、オンラインでの共同作業における遅延の問題、スタジオの発見や予約の困難さ、楽曲完成までの長い制作期間などがある。これらの課題に対し、Choiraは、超低遅延の音楽コラボレーションプラットフォーム、AIを活用した商用品質の音楽制作プラットフォーム、スタジオ・ミュージシャン・プロデューサーのための統合マーケットプレイスを提供。音楽制作の全プロセスをデジタル化し、効率化することを目指している。

同社はインドを拠点に、既に200以上のスタジオパートナーを持ち、1.5万以上のダウンロード数を達成。サブスクリプションベースのビジネスモデルを採用し、月額15ドルからのクリエイター向けプラン、パートナーからの10〜25%のコミッション、企業向けの1プロジェクト200米ドルのプランなど、多様な収益源を確保している。最近、Dolbyとのパートナーシップを締結し、Dolbyのスタジオやミュージックルームをプラットフォーム上で予約できるようになった。

同社は、音楽産業のデジタル化をリードする存在として、2030年までのグローバル展開を目指している。創業者は電子音楽プロデューサーとしての経験があり、コアプレイコンサートのマネジメントチーム経験者やマーケティング責任者、AI研究アドバイザー、武蔵野大学の教授などの多彩なメンバーで構成される経営チームを持つ。最新技術を活用しながらも、音楽クリエイターの創造性を支援し、グローバルな音楽産業の発展に貢献することを目指している。

Human Life CORD Japan(日本・東京)

ヒューマンライフコード 代表取締役社長兼CEO 原田雅充氏

Human Life CORD Japanは、高齢化に関連する筋力低下(サルコペニア)や糖尿病予備群など、世界で約13.5億人が抱える問題に対し、臍帯由来の細胞治療によるソリューションを提供する再生医療スタートアップだ。同社の製品は、組織開発と免疫調節機能を持つ幹細胞を活用し、高品質で新鮮な状態を維持できる持続可能な細胞治療アプローチとして注目されている。一つの臍帯からは3,600ユニットの製品が製造でき、300人の患者の治療が可能だ。

同社は設立から2年半で規制当局の承認を得て、臨床応用への道を開いた。白血病患者の肺合併症に対する臨床試験では、従来の治療法での生存率25%に対し、71.1%という高い全体生存率を達成し、グローバル展開への大きな弾みとなった。2024年12月にはニューヨーク血液センターと提携し、品質保証のグローバルスタンダード確立を目指している。

2027年までに1万件の事例を収集し、AI技術を用いた糖尿病の早期発見を実現する計画だ。また、予防的治療としての幹細胞の活用も視野に入れている。各国での地産地消を理念とし、細胞治療分野におけるグローバルエコシステムの構築を目指すほか、政府からの認証も受けて、臍帯からの無限の可能性を追求している。こうしたアプローチを通じて、高齢化社会における医療課題の解決に貢献することを目指しているという。

Baobab(日本・東京)

Baobab 代表取締役社長 相良美織氏

Baobabは、創業15年の歴史を持つ機械学習やAI(生成AIを含む)向けのアノテーションサービスを提供する。カーネギーメロン大学コンピュータサイエンス学部言語技術研究所のグラハム・ニューバイク博士を含む著名な顧客を持ち、日本のトップアノテーション企業としての地位を確立している。世界中に従業員を抱え、これにより一般的に雇用が困難とされる人々や難民にも雇用機会を提供しているそうだ。

最近では、ウクライナ支援プログラムを立ち上げ、特に母親や戦争の前線から戻る男性向けの生活スキル習得支援を行っている。日本の障害者スタッフが研修プログラムをサポートし、校正者としても働いており、多様な人材の活用と社会貢献を実現している。特に戦争の前線から戻る人々に対しては、社会復帰に必要なライフスキルの習得を支援し、日本政府からも研修プログラムへの支援を受けている。

IANUS Simulation(ドイツ・ドルトムント)

IANUS Simulation イノベーションマネージャー Oleg Grauberger氏

あらゆる産業分野の企業は、新しい機械やプロセスの開発において、電力や原材料、エネルギーなどのリソースコストの高騰、適切な専門家の確保と維持の困難さ、新技術導入に伴うグローバルな競争圧力の増加、持続可能性への要求の高まりなどの課題に直面している。こうした企業に対し、IANUS Simulationは、カスタマイズされたデジタルシミュレーションとAI技術を提供するドイツのディープテックスタートアップだ。

同社が提供している「StrömungsRaum」はクラウドベースで、直感的に使えるソリューションだ。3Dファイルのアップロードや豊富なコンポーネントデータベースの活用、少数のパラメータ入力だけで、顧客企業が求めるシミュレーションを開始し、リアルタイムで問題解決を図ることができる。高価なハードウェアを必要とせず、専門家がいなくても高度なレベルのシミュレーション結果を得られる点が特徴だ。

窓枠やドア枠などのプラスチック成形メーカー大手 Vekaでは、StrömungsRaumを導入し、従来12回の手動作業と12トンの材料廃棄、6週間のダウンタイムを必要としていた生産立ち上げプロセスを大幅に改善することに成功した。Vekaは手動作業の約75%をシミュレーションで置き換え、1マシンの新規生産開始にあたり、40,000ユーロ(約630万円)のコスト削減、9トンの材料削減、4.5週間の時間短縮を実現したという。

AC Biode(日本・京都)

AC Biode 代表取締役社長 久保直嗣氏

AC Biodeは、化学リサイクル技術を開発するスタートアップだ。世界の廃プラスチックの60%以上が混合・多層・汚れた廃棄物であり、機械的リサイクルが困難な状況に対し、独自の触媒「Plastalyst」を用いた解決策を提供している。この触媒は200℃という低温での処理が可能で、貴金属やレアメタル、有機溶剤を使用せずにコストを抑制できる。この技術を使って、プラスチックの構成要素であるモノマーや、水素・一酸化炭素・メタンからなる合成ガスを得ることが可能。PETからメタノールを生成できるのは世界でも唯一の技術だそうだ。

自動車の廃車規制に関連して、同社では自動車業界での実証実験を進めており、ワイヤーハーネスなどの複合材料の分解にも成功している。また、医療分野では塩化ビニルを含む医療廃棄物の処理にも取り組んでいる。また、インドネシア、シンガポール、マレーシアの現地企業などとも協力し、これらの地域で深刻な問題となっているパーム油廃棄物からのメタン排出問題にも取り組んでいるそうだ。

現在、同社は日本とEUに拠点を置き、チームメンバーの出身国は日本を含め10カ国に及ぶ。材料科学のPhD保持者を中心とした技術チームを中心に、京都、東京、メキシコ、英国のケンブリッジにオフィスがあるという。タイヤや加硫ゴムを除く、ほぼすべての種類の廃棄物を分解できる技術を持ち、廃棄物を生み出す企業とのPoCや技術のスケールアップを目指している。

MAP IV(日本・名古屋)

MAP IV 代表取締役CEO 橘川雄樹氏

MAP IV(マップフォー)は、実世界を高精度3Dデータに変換する技術「SEAMS」を開発・提供している。2016年に名古屋大学発ベンチャーとして設立され、自動運転車両の精密制御に必要な詳細な地図を、迅速かつコスト効率よく生成する技術を確立した。道路や交通信号、車線などの要素を自動認識し、地図データから移動車両などの不要なオブジェクトを自動的に除去できる。また、工事などによる環境変化も捕捉可能だ。

同社では現在、レーザースキャナーなどのセンサーを搭載したハードウェアを販売し、データ処理・分析用のソフトウェアをサブスクリプション形式で提供している。また、顧客ニーズに応じて地図データの作成や検証も行う。モビリティの自動運転や工場・倉庫での自動物流のほか、AI運転教習所などでも活用されており、AIが訓練生の運転技術を評価するシステムも実現しているという。特に自動運転技術を中心としたサービスは今後も拡大が見込まれている。

また、技術の応用範囲を自動運転関連だけでなく、従来型産業にも拡大している。特に鉄道の点検業務のデジタル化に注力しており、日々の点検作業による重労働と深刻な人手不足の課題に対し、3Dデータの活用により作業負荷を50%削減できることを実証している。顧客固有のデータを使用したAI開発や、特殊なデータへのアクセス、カスタムソリューション開発の専門知識を強みとしているという。

Autopass/車麻吉(台湾・台北)

Autopass CEO Ronald Yu(余致緯)氏

Autopassは、ドライバーのためのシームレスでキャッシュレスな体験を提供するスタートアップだ。従来型のセルフサービスのガソリンスタンドで煩雑な手順(ノズルの出し入れと料金支払)を、監視カメラによる車両検知とナンバープレート識別による自動決済で効率化。クレジットカードや銀行口座など、ドライバーの希望する決済手段との連携を実現している。世界に14億人いるドライバーのうち800万人をカバーしており、2024年12月には20.5万人のドライバーがネットワークを利用、前会計年度には800万ドルの収益を達成した。

Platform as a Serviceのビジネスモデルを採用し、事業者からは5〜15%のレベニューシェアを得るとともに、ドライバーエコシステムを構築したいブランドパートナーからは36ヶ月契約で2,000ドルを徴収している。LINE BANK、トヨタ台湾、タイムズパーキング台湾と提携し、ナンバープレートによる銀行口座からの決済、駐車場でのオンライン決済などを実現した。

創業者のRonald Yu(余致緯)氏は、過去に2回のイグジット実績(台湾でIPO、Acerへの事業売却)を持つ連続起業家だ。Autopassは、アジアをリードするフィンテックソリューションを目指し、駐車場での煩雑な支払い手続きの解消など、ドライバーの日常的な不便を解消することに注力している。今後、グローバルなスケールでのキャッシュレス化を推進し、ドライバーエクスペリエンスの変革を目指すとしている。

Smartsound(韓国・ソウル)

Smartsound CEO Jungho Lee氏

Smartsoundは、心臓や肺の音を分析するヘルスケアデバイスとAIソリューションを開発・提供している。病院への通院が困難な高齢者や、自宅での健康状態を常に気にかける慢性疾患患者のニーズに応える形で、同社はシンプルなデバイスとスマートフォンアプリを使用して健康音を記録・分析し、AIによって心肺の症状を検出する遠隔患者モニタリングシステムを開発。医師と患者をつなぎ、AIによる早期の症状検出と遠隔診療を可能にしている。

2021年から前向き臨床試験を実施し、韓国の主要病院で心肺音データの収集を開始。画像としてのスペクトログラム分析と音声仕様の分析という2種類のAIモデルを開発し、その2つを組み合わせることで90%以上の分析精度を達成している。

数値情報のみを提供する他の在宅医療機器と異なり、画像と音声の分析ファイルを組み合わせることで医師による正確な診断を可能にしている。20秒の測定で得られたデータはサーバーで分析され、AI評価スコアに基づいて異常が検出された場合は医師のレビューを依頼できる。

現在、20カ国以上で展開しており、NTTなど日本の大手企業とも提携。薬局、クリニック、B2Bケア、保険、B2C向けに異なるサービスを提供し、サブスクリプションとライセンスモデルによる持続可能な収益を実現している。アメリカの医療機関やコンサルタントからも技術と事業モデルの検証を受けていて、最近では、ペット向けAI聴診器、睡眠時無呼吸検出、WebRTCベースの遠隔医療サービス、医師向けエッジAIコンピューティングなど4つの新ソリューションを発表している。

Fairmat(パリ・フランス)

Fairmat 販売責任者 Julien Pascal氏

航空宇宙や自動車産業で使用される炭素繊維は、5〜10マイクロメートルという極めて細い繊維でありながら高強度・高性能で軽量という特徴を持つが、初回使用後のリサイクルや再利用が十分に行われていない。このまま対策を講じなければ、今後50年間で1.38億トンが埋め立てられるか、最良のシナリオでも焼却される見込みだ。ディープテックスタートアップのFairmatは、こうした課題に対し、炭素繊維とその複合材のリサイクルソリューションを提供する。

同社では、フランスと米国の施設でロボットを活用して一連のリサイクルプロセスを自動化、常温での機械的操作のみを用いることでCO₂排出を抑制している。独自のトレーサビリティシステム、デジタルツイン、レイアウトシミュレーションソフトウェアなどを開発し、高性能で環境負荷の低い材料を競争力のある価格で提供。4年間で研究から生産まで到達し、42台の機械を導入、開発リソースの25%を維持しながら事業を拡大。ライフサイクル分析では、代替材料と比較してCO₂排出量を半分以下に抑制できることが確認されているそうだ。

スキー用品やエレクトロニクス機器、電気自動車のバッテリーケーシングなど、多様な用途での実績を持つ。創業4年で100人以上の従業員を抱え、フランス、スペイン、米国に拠点を展開し、5,100万ユーロの資金調達にも成功。B Corp認証も取得している。現在はヨーロッパとアメリカに拠点を持ち、今後は日本、ベトナム、中国への展開を計画している。特に日本は炭素繊維製造のリーダーであり、日本産業の持続可能性目標達成を支援したいとしている。

Acompany(日本・名古屋)

Acompany CRDO 近藤岳晴氏

Acompanyは、機密計算技術を開発・提供するスタートアップだ。暗号化されたデータ上での計算を可能にし、クラウド上でのコンプライアンスを確保する技術を開発している。この技術はAppleやGoogleが生成AI用途で採用し始めている分野で、日本政府の公文書でも言及されている。AWS、GCP、Azure、Snowlakeなどと接続可能な機密計算プラットフォームを提供しており、あらゆる業界のデータやAIを安全に活用できる環境を実現している。

Acompanyでは特に医療分野での活用を重視しており、東北大学や北海道大学などが持つ患者データを活用した新薬開発や医療AI開発を支援している。従来は患者データの取得に100万ドルから1億ドルのコストがかかり、十分なデータが得られないままの開発失敗や、同意取得プロセスでの医師の過度な負担などが課題となっていた。Acomapnyの技術を使えば、より効率的なデータ活用と医師の負担軽減を同時に実現できるという。

プライバシー規制に関する知識も強みとしており、Acompanyでは昨年7月、他のスタートアップなどと共同でプライバシーテック協会を設立し、日本のプライバシー関連団体や政府機関との対話も進めている。通信分野でHTTPSが標準となったように、暗号化された計算を全産業の標準とすることを目指しており、今後、通信、医療、防衛など幅広い分野での活用を見据え、産業界の変革を推進していくとしている。

Preferred Computational Chemistry(日本・東京)

Preferred Computational Chemistry 経営企画統括 瀬川晶子氏

Preferred Computational Chemistryは、原子レベルでの材料シミュレーションを高速化するAIソリューション「Matlantis」を開発・提供している。鉄やプラスチック、半導体など、技術革新は常に新しい材料によって支えられてきた歴史があり、現在は持続可能な未来を実現する新材料が求められている。そこで、Matlantisでは、従来は数時間から数ヶ月かかっていた原子レベルのシミュレーションを数秒に短縮し、原子の構造シミュレーションを高速化することに成功。以前は2ヶ月かかっていた計算を0.3秒で実現した。

Matlantisは、自然界に存在する全元素に対応し、触媒、バッテリー、導体など幅広い材料に適用可能。ディープラーニング技術のスタートアップPreferred Networksと石油元売大手ENEOSとのジョイントベンチャーであるため、大企業の安定性とスタートアップの機動性を組み合わせたハイブリッド構造を特徴としているという。スタートアップは資金、人材、ブランド認知、経験などで課題を抱える一方、大企業は既存事業の保護が必要で新規事業の立ち上げに慎重になりがちだが、双方の〝いいとこどり〟を狙う。

Phenikaa-X(ベトナム・ハノイ)

Phenikaa-X CEO Son Le Anh氏

Phenikaa-Xは2020年に設立されたベトナムのスタートアップで、自動運転、AI、IoT、FPGAの技術を提供している。120名の従業員を抱え、輸送ソリューション、ドローンソリューション、ロボティクスソリューション、ヘルスケアソリューション、教育ソリューションの5つの事業を展開。2021年にはハノイ郊外の新市街「Ecopark」で自動運転車のPoCを実施し、新型コロナウイルスの感染予防用ロボットアシスタントの開発など着実に実績を重ねてきた。

一方、サムスン向けのAMR(Autonomous Mobile Robot)の提供、自動運転バスのPoC実施など、産業用ロボットや自動運転分野でも成果を上げている。特にAMRは高い評価を得ており、電機工場などへの展開も進めているという。また、森林監視用の自動運転ドローンも開発し、3,000ヘクタール以上のエリアでPoCを実施中だ。今後は大量生産に向けた投資を行い、スマートシティの展開やMaaSなどの事業拡大を目指している。

記事:池田将

編集:北松克朗

トップ写真: J-STORIES (池田将)

この記事に関するお問い合わせは、jstories@pacificbridge.jp にお寄せください。


本記事の英語版は、こちらからご覧になれます。

Tags: AI innovationAI Waste ManagementAutonomous MobilityCarbon Fiber RecyclingGlobal StartupsNagoyaNagoya TechPitch CompetitionRegenerative MedicineStartup EventsSustainable EnvironmentTechGALA
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