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難病や寝たきりの外出困難者が遠隔操作「ロボットと対話できるカフェ」が人気

Ayana Usui by Ayana Usui
05/02/2024
in AI, Art & Music, Diversity, FoodTech, HRTech, Lifestyle, Mobility, Robotics, Social Impact, Society
0
Home AI
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J-STORIES ー 難病や障害などの理由で寝たきりの生活を送る人たちは、仕事を行う意欲が十分にあり、過去のキャリアを生かした知見やコミュニケーション能力を持っていても、仕事を得ることが難しい状況下にある。

こうした人々が、最新のロボット技術を活用して、飲食店で接客業を行う試みが3年前の2021年から都内の飲食店でスタートし「ロボットと対話できるカフェ」として多くの客で予約が殺到するなど国内外で話題となっている。

株式会社オリィ研究所が都内にオープンしたカフェ『分身ロボットカフェ DAWN ver.β』。このカフェでは、難病や障害で寝たきりの生活を余儀なくされている外出困難者をロボットを遠隔で操縦する「パイロット」として雇用している。パイロットたちの中には、眼や指先しか動かすことのできない重度の障害が含まれるが、視線入力などの装置を使って、カフェ内の分身ロボットを自宅から遠隔操作して、食べ物や飲み物を運んだり、来客者と会話する接客を担当する。

店員と心の通ったコミュニケーションが取れるカフェとして話題

カフェは、オープン前の2018年に10人のパイロットと、期間限定の実験店としてスタートし、好評だった為、2021年に現在の場所で正式な店舗としてオープンした。ロボットを通じて、外出困難者と和やかに会話できるというこれまでにないカフェの仕組みは、来客者に好評で、予約が必要なほどの人気となっている。

人気の秘密は、遠隔操作で操るロボットを通じて、こうした「パイロット」達と会話できることにある。

店内でテーブル席案内をする卓上ロボット     薄井彩奈 撮影

J-STORIESが取材に訪れた2024年3月27日のカフェに二人で来店していた20代の女性客は、カフェの魅力について店員と心の通ったコミュニケーションが取れることにあると話す。

巡回をするウェイターロボット   薄井彩奈 撮影

「普通のカフェの店員さんとは話しませんが、この店だと、店員と楽しく話せるところが面白いです。人が操作しているロボットとお話できるというのが新鮮で、ロボットなのに温かみがあります」(女性客)

また、別の客は「メニューの説明を受けたり、食事が来るまでの間にパイロットと雑談できる時間が楽しかった」、「ロボットについて勉強していて、テクノロジーに興味がある」などと話している。

「カフェで働くことが生きがい」

こうしたカフェの人気を支えるのが、パイロット達である。カフェは、外出困難者が働ける場としても注目を浴び、3年が経った現在もパイロットの数は増え続けており、全国各地から約70人のパイロットが働いている。

そうしたパイロットの一人、三好史子さんは徐々に筋肉量や筋力の低下が起こってしまう骨髄性筋萎縮症という難病を抱えている。ふーちゃんの愛称を持つ三好史子さんは「仕事してる時が1番心が充実してて豊かになっている気がする。思い通りに動かない自分の身体のことを忘れられて、自分は生きる意味があって、社会とつながっている実感を感じられる」と自身のSNSで発言している。

「仕事してる時が1番心が充実してて豊かになっている気がする。思い通りに動かない自分の身体のことを忘れられて、自分は生きる意味があって、社会とつながっている実感を感じられる」パイロットの三好史子氏。      オリィ研究所 提供

またJ-STORIESの再取材を行った2024年3月27日に話を伺ったパイロット、藤田美佳子さんは、ALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病を発症し、数年前から寝たきりの生活を送っている。

藤田さんは、ALSと診断される前までは、様々な仕事を経験してきたが、寝たきりになったことによって「今まで積み重ねてきた経験やキャリアが手元から離れてしまった」と話す。その後、外出困難の状態で働ける道がどれほど狭いかを思い知って絶望しかけていたところ、最近になって、ロボットを遠隔操作して接客をする現在のような働き方があることを知ったという。

受付の「みかちゃん」こと藤田美佳子さんとの会話の様子     薄井彩奈 撮影

元々元気だった身体の自由が刻一刻と奪われていく恐怖の中に今でもある一方で、藤田さんはカフェで働くことが生きがいになっていると話す。

「(働くことは)とても楽しいですね。普段出会えない、家で過ごしていると出会えない方に会えますので。家にいながら皆さんとお喋りしたり接客したり楽しかったと喜んでもらえるのは、とっても嬉しいです。体が動かなくなっても現役で働けるという事はとっても幸せです」。

「(働くことは)とても楽しいですね。普段出会えない、家で過ごしていると出会えない方に会えますので。家にいながら皆さんとお喋りしたり接客したり楽しかったと喜んでもらえるのは、とっても嬉しいです。体が動かなくなっても現役で働けるという事はとっても幸せです」パイロットの藤田美佳子氏     オリィ研究所 提供

店員ではなく、パイロットという名称に誇りを持っている

カフェで働くスタッフを「パイロット」と呼ぶのは、開発者である吉藤オリィさんがある男の子から聞いた表現をそのまま使っており、「かっこよさ」と親しみを込めて名づけられた。

カフェを運営するオリィ研究所の広報務める濱口敬子さんは、敬意と尊敬が含まれているパイロットたちが、この「パイロット」という名称に誇りを持っていると話す。

「スタッフ、店員と呼ぶこともできるのですが、パイロットと呼んでいるのは、憧れの職業にしなくてはいけないと考えていることもあります」(濱口さん)

外出困難者が求めるのはコミュニケーションだけではなく外で働くこと

同研究所は、カフェの運営だけではなく、分身ロボット「Orihime-D」の開発も行っている。代表の吉藤さんは、自身が不登校などで外出困難者だったことから、遠隔で気軽にコミュニケーションを取るためのツールとしてロボットを開発した。カフェを運営しようとしたのは、ロボットの活用先として、寝たきりの患者と出会った際に、彼らが求めているものがロボットを通じたコミュニケーションだけではなく、ロボットを通じて社会に出て働くことだと知ったことがきっかけだったという。

2021年6月、東京・日本橋にオープンした、分身ロボットカフェDAWN ver.β の店内受付    オリィ研究所 提供

それ以来、同研究所は、障害者、健常者の区別なく、出会い、語り合い、楽しむことができる「新しい社会参加の形を作る実験」としてカフェをスタートした。正式オープンして3年が過ぎ、ロボットを通じた会話ができるという世界でも例のないコンセプトも相まって、今では家族連れや、日本のロボット文化に興味を持つ外国人観光客の来店も増えてきた。

分身ロボットカフェDAWN ver.β の店内   オリィ研究所 提供

濱口さんは、ロボットが働いている場所と、健常者と外出困難者の方々が働ける場所が実装されているのは世界でここだけだという。

「実証実験だけではなくて、社会に実装されているのは本当にここだけです。この様な活動の新しい働き方や価値の提供ができている場所はここだけなので、そこは誇りを持っています」(濱口さん)。

記事:薄井彩奈  編集:一色崇典

トップ写真:オリィ研究所 提供

この記事に関するお問い合わせは、 jstories@pacificbridge.jp にお寄せください。

***

本記事の英語版は、こちらからご覧になれます。

Tags: AccessibilityAvatar Robot Cafe DAWNDisability EmploymentDiversity & InclusionFuture of WorkHealthcare TechnologyInclusive DesignNihonbashiOriHimeOry LaboratoryRemote WorkroboticsSocial Inclusionsocial innovationTelepresence
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